この記事は19分で読むことができます。

ISO9001:2026 規格改訂ガイド いつ発行する?現在の進捗や組織として準備すべきことについて解説します!

catch-img

ISO認証審査が、月額¥10,000(税抜)から受けられる

アームスタンダードは、認証を維持しやすい月額支払いに対応。
これまでISOに触れてこなかった企業でも、ISO取得に向けた準備に取り組みやすいサービスを提供中です。

この記事でわかること

  • 改訂版の発行スケジュール(2026年9月を予定している)
  • 2026年1月時点で明らかになっている、現行の規格との変更点
  • ISO9001を取得している組織がこれから準備すべきこと
  • 移行の流れ(移行審査まで)と注意するポイント

本記事では、ISO9001の改訂動向が気になっていたり、自分たちが何を想定し、どう動けば良いのか知りたいというISOのご担当者様向けに、
改訂の進捗状況や今後のスケジュール、変更内容、そして必要な準備について説明します。

また、最後のFAQ(よくある質問)では、規格の移行にあたって企業・組織様からよくいただくお問い合わせ事項を、どんどん追加していく予定です!

さらに、ISO9001だけではなく、ISO9000の改訂情報も共有します。

(※)本記事は、2026年1月時点の情報に基づいています。ISO9001:2026は現在改訂作業中(原案の段階)であり、正式な国際規格の発行までに、内容が変更される可能性があります。情報は随時更新してまいりますので、定期的にご確認ください。

今回の改訂の概要

2026年の改訂は、前回2015年の改訂のような、大きな改訂ではありません。

附属書SL(Annex SL)の共通テキストの改訂に合わせることが、今回の主な改訂内容となり、規格の目的やタイトル、基本構成やプロセスアプローチの採用など、規格の根幹となるところについては変更はありません。

また、附属書A(Annex A)が拡張されて詳細なガイドが追加され、注記も今より増えることにより、解釈の明確さや現場での適用のしやすさが考慮されています。

改訂の背景と目的

 01

 他のマネジメントシステム規格との整合性を高めるため

 02

 ガイダンスを強化し、実践的な指針を提供するため

 03

 注記や表現を変更して、これまで規格で求められていたことをより補強するため

 04

 近年重要性を増している今日的課題に対応するため

よって、現在ISO9001:2015を運用されている企業・組織様は、根本から仕組みを作り直す必要はありません。

ただし、最小限に抑えられてはいますが、一部の要求事項が追加・明確化されているため、それらに対応した準備が必要となります。

附属書SL(Annex SL)とは?

ISOマネジメントシステム規格のベースとなる共通事項を記載した文書です。ISO規格を制定・改訂する際に参照される公式ルールである「ISO/IEC専門業務用指針」の付属書の1つとして収録されています。

ISO9001、14001、27001、45001など、異なるすべてのISOマネジメントシステム規格は、同じ章立てと基本用語、表現などを使用して作成されるため、企業・組織は、複数規格を統合マネジメントシステムとして運用しやすくなります。

共通テキストについて

附属書SLは、8つの条項と4つの附属書で構成されており、附属書3で、「上位構造にあたる条項タイトルや順番(HLS)」、「共通テキスト」、「共通の用語と定義」が定められています。共通テキストとは、ISOマネジメントシステム規格の文章(テキスト)を統一するために定義されたもので、例えば4.1項の場合、どの規格でも以下のテキストが使用されています。

例 4.1 組織及びその状況の理解

組織は、組織の目的及びその戦略的な方向性に関連し、その「○○○○」の意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える、外部及び内部の課題を決定しなければならない。組織は、これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し、レビューしなければならない。

※4項はどの規格にも存在しており、「○○○○」には、ISO9001の場合は品質マネジメントシステム、ISO14001の場合は環境マネジメントシステムなどが入ります。

附属書A(Annex A)とは?

ISOマネジメントシステム規格の本文(要求事項)を解説し、補足するために設けられているガイドラインです。各規格書に付属書として収録されています。

本文では詳しく触れられていない概念や具体的な実施方法を深掘りし、理解を助ける役割を果たしており、企業・組織は規格の運用や導入に際しての参考情報として使用できます。

ガイドラインの例

ISO/IEC27001の附属書Aには、情報セキュリティリスクを管理するための、93個の管理策が記載されています。例えば、規格本文の6.1.3項にて、リスク対応の実施に必要な「管理策」を決定するように要求されていますが、リスク対応の見落としを防ぐための参考として、附属書Aにて「管理策の一覧表」が用意されているのです。

例 7 物理的管理策/7.4 物理的セキュリティの監視

施設は、認可していない物理的アクセスについて継続的に監視しなければならない

また、ISO45001の附属書Aには、安全衛生リスクを管理し、労働環境を整えるために必要な追加のガイダンスが記載されています。例えば、規格本文の4.2項では「利害関係者」が具体的にどのような人物を指すのか言及されていませんが、附属書Aでは次のように補足されているのです。

例 A4.2 働く人及びその他の利害関係者のニーズ及び期待の理解

利害関係者には働く人に加えて次の者が含まれ得る。a) 規制当局(地方,地域,州・県,国又は国際)、b) 親組織、c) 供給者,請負者及び下請負者 、d) 働く人の代表、e) 働く人の組織(労働組合)及び雇用主の組織、f) 所有者,株主,得意先,来訪者,地域社会及び組織の近隣者,並びに一般市民、g) 顧客,医療及びその他の地域サービス,メディア,学術界,商業団体並びに非政府機関(NGO)、h) 労働安全衛生機関及び労働安全衛生専門家 (~省略)

規格改訂スケジュールと現在の進捗状況

2026年1月現在の予定は以下の通りで、改訂版の規格は、2026年9月頃に発行される予定です。

現在は「国際規格案(DIS:Draft International Standard)」という草案に対して、ISO加盟国などから賛否の投票と技術的なコメントが寄せられ、それらを反映したり議論を行っている段階です。

また、DISは、「最終国際規格案(FDIS:Final Draft International Standard)」というほぼ内容が確定した草案とは違い、変更になる可能性があります。

ISO9001:2026 今後の流れ

  1.  原案作成:CD(委員会原案)ISO/CD9001 ← 2024年4月 発行済み
  2.  原案作成:DIS(国際規格案)ISO/DIS9001 ← 現在この段階
  3.  最終確認:FDIS(最終国際規格案)ISO/FDIS9001 ← 2026年4月 発行予定
  4.  正式発行:IS(国際規格)ISO9001 ← 2026年9月 発行予定
  5.  日本語訳版:JIS(日本産業規格)JISQ9001 ← 2026年12月 発行予定

※2026-02-06誤字修正

ISOの公式ページでは、以下のように最新の進捗が確認できます。

定期的に、現在どの段階なのかを確認しましょう。

この2つの図の見方を解説します。

照会段階(40/Enquiry)で作成するDIS:国際規格案は、2025年11月20日時点でコメント処理および投票が終了(40.60/close of voting)しています。

現在は投票の結果を踏まえて、以下のいずれかを決断している最中(90/Decision)ということになります。

➊ DISを作り直すために差し戻すか(40.92/Full report circulated: DIS referred back to TC or SC)

➋ 投票をやり直すか(40.93/Full report circulated: decision for new DIS ballot)

❸ 次の段階へ移行してFDIS:最終国際規格案の作成を始めるか(40.99/Full report circulated: DIS approved for registration as FDIS)

この公式情報を日本語に訳し、提案(10/Proposal)から発行(60/Publication)までのステージの、必要最低限の情報に修正したものが以下の通りです。

現在は【4-3】DISへの投票が終了の段階であり、【6-2】IS発行は2026年9月に予定されています。

ISO9000も改訂予定!

また、ISO9001と並行して、ISO9000(品質マネジメントシステム-基本及び用語)も改訂予定です。

2025年12月現在のスケジュール(予定)は以下の通りで、改訂版の規格は、2026年1月頃に発行される予定です。

ISO9000は、ISO9001に登場する用語や概念を理解するために重要な規格書です。改訂準備の際は、両方の規格書を確認するようにしましょう。

ISO9000:2026 今後の流れ

  1.  原案作成:CD(委員会原案)ISO/CD9001 ← 2024年5月 発行済み
  2.  原案作成:DIS(国際規格案)ISO/DIS9001 ← 2025年4月 発行済み
  3.  最終確認:FDIS(最終国際規格案)ISO/FDIS9001 ← 現在この段階
  4.  正式発行:IS(国際規格)ISO9001 ← 2026年1月 発行予定
  5.  日本語訳版:JIS(日本産業規格)JISQ9001 ← 2026年12月 発行予定

こちらもISOの公式ページで進捗を確認できます。

同様の手順でスケジュール感を掴みましょう。

ISO/DIS9000 主な変更点

DISでの主な変更点としては、以下のような新たな概念が追加されており、考え方や用語もいくつか修正されています。

箇条2:品質マネジメントシステムの基本

2.3 基本品質マネジメント概念

既存の概念である「品質」「品質マネジメントシステム」などが修正されました。

新たに「品質マネジメント」、「品質保証」、「品質管理」、「品質計画」、「プロセスマネジメント」、「リスクに基づく考え方」、「組織の品質文化」、「継続的改善」についての考え方が追記されました。

2.4 品質マネジメントシステムに関連する追加概念

既存の概念である「組織の状況」「利害関係者」「人々の側面」などが修正されました。

新たに、「統合マネジメントシステム」、「循環経済」、「新興技術」、「革新」、「変更マネジメント」、「顧客体験」、「知識マネジメント」、「情報マネジメント」、「事業継続」に関する考え方が追記されました。

組織の品質文化とは?
  1. 定義
    組織のあらゆるレベルで強化されるべき内容のこと
  2. 品質文化が組織に与える良い影響とは?
    作業環境の改善、競争優位性の確立、効率的かつ有効なパフォーマンス、チームの結束力向上、目標達成への連携強化など
  3. 品質文化を構築し、維持するには?
    品質マネジメントシステムの有効性を基盤として、地域文化や状況に応じた柔軟性を持ちつつ、組織の「品質第一」の「価値観、信念、歴史、態度、行動」が、継続的に実践されている状態を目指しましょう。

箇条3:用語及び定義

新たな用語として、「品質文化」が追加されました。これはISO9001:2026の追加要求事項としても登場する予定の言語です。国際規格が発行されたら、しっかり確認しましょう。

その他、共通テキストと被る、マネジメントシステムには直接関係ない等の理由から、いくつか既存の用語が削除されたりしています。

3.5 システムに関する用語

3.5.7 文化

<品質文化> 統合的に共有された価値観、信念、歴史、倫理観、態度及び観察される行動

品質管理 ― 組織文化を理解し、評価し、改善するためのガイダンス

3.5.8 品質文化

<品質文化> 品質方針及び品質目標の達成、並びに顧客及びその他の密接に関連する利害関係者のニーズ及び期待を満たす製品及びサービスの提供を支援する文化

ISO/DIS9001 主な変更点

ISO/TC176(国際標準化機構の専門委員会)によると、今回の規格改訂にあたっては、新たに14個の「品質マネジメントにおける新たなテーマ」の導入が検討されていました。

  • 顧客体験(Customer experience)

  • 人々の側面(People aspects)

  • 関係性の管理(Relationship management)

  • 人口動態の変化(Demographic change)

  • 変化のマネジメント(Change management)

  • 統合(Integration)

  • 俊敏さ(Agility)

  • ナレッジマネジメント(Knowledge managemant)

  • 革新(Innovation)

  • 情報の側面(Information aspects)

  • 循環型社会(Circular economy)

  • 新しいテクノロジー(Emerging technologies)

  • 倫理及び誠実さ(Ethics & integrity)

  • 組織文化(Organizational Culture)

これらのラインナップから、従来の品質マネジメントシステムの枠組みはそのまま維持しつつ、より現代の経営課題への対応力を強化する方向性だったことが窺えますが、

これまでのWG29の会議にて、特に以下4つのテーマがピックアップされ、規格要求事項へ反映されることが決まりました。

  1.  変化のマネジメント

  2.  倫理及び誠実さ

  3.  組織文化

  4.  事業継続計画

これらを踏まえて、現時点の改訂作業では、以下のような変更が検討されています。

特に重要な部分をピックアップして解説します。

箇条4:気候変動に関する修正を正式に統合

2024年2月23日に発行され、これまで追補として扱われていた気候変動に関する内容が、正式に規格本文に統合されました。

内外の課題や、利害関係者からの要求事項の1つとして、
気候変動が自社の製品サービスの品質に与える影響を検討(考慮)しましょう!

以下のリスクが増えていないか見直しましょう。
  • 原材料の供給が不安定になる調達リスク
  • 輸送機にトラブルが発生したり、倉庫での保管条件に追加対策が必要になる物流リスク
  • 作業環境が悪化したり、エネルギー供給が不安定になり、製造ラインやITサービスが停止するリスク
  • 気象や気温の変化で、主要製品に対する顧客の需要が減少するなど、顧客ニーズ含めた経済的なリスク

また、次の応えるべきニーズや遵守すべき事項についても見直しましょう。

  • 災害時の緊急対応や、利用者への代替サービスの用意といった顧客要求事項
  • 脱炭素や環境法規制が強化され、企業として遵守すべき事項

気候変動に関する取り組みは、
「緩和策」と「適応策」の2本柱で対策することができます!

温室効果ガスの排出を削減し、気候変動自体を抑制する「緩和策」では、次のような対策が考えられます。
  • 自社のサプライチェーンを洗い出した後に、ライフサイクル全体でGHGをどれだけ排出しているか算出し、削減すべき対象を特定し、削減目標を掲げるほか、削減のための手段を検討する
    再生可能エネルギーの利用、省エネへの取り組み など
  • 法令の例:温暖化対策法、省エネ法、フロン排出法

気候変化に対して社会や経済のシステムを調整し、気候変動による悪影響を軽減する「適応策」では、次のような対策が考えられます。

  • 浸水や停電対策、BCPの策定、生産施設やサーバールームなどの重要施設の移転や高台化、空調施設の整備、一部業務の外部委託化、製品販売時期の調整、主要製品の転換、貯水施設の設定、浸水時の製品等の備蓄、製造ラインの再構築 など
  • 法令の例:気候変動適応法

箇条5:リーダーシップに「品質文化と倫理的行動の促進」が追加 注記で補足も

トップマネジメントに対して、「品質文化及び倫理的行動を促進する」という新たな要求事項が追加されました。
また、従来の”管理層”という表現は”役割”に変更になりました。

社内に定着させるために、トップマネジメントは言葉で示すだけではなく、
積極的に関与するなど行動で示しましょう!

  • 組織全体に品質文化や倫理的行動を浸透させる仕組みを考案し、構築する
  • 品質重視の活動を実施し、経営方針や経営戦略の中心に位置づける
  • コンプライアンス(法令、社内規範、社会倫理・企業倫理)を遵守するための取り組みを実施し、トップマネジメント自らが模範的行動を実践する
倫理的行動とは?

品質文化が「品質を大切にする価値観」ならば、倫理的行動は「顧客などの利害関係者からの信頼を失わない行動基準」であり、品質文化の一部としてQMSを支援する存在です。

箇条6:リスクと機会の取り組みが分離

従来は一緒に記載されていた「リスク及び機会への取り組み」が、6.1.2「リスクへの取り組み」と6.1.3「機会への取り組み」に分離されます。
また、注記で事業継続計画に関する文言が見直されたほか、
リスクと機会を「決定」するだけではなく、「分析・評価」を行い、適切な対応策を講じるように、新しく要求事項として求められます。

ただし、体系的な文書を作成されるように要求されているわけではありません。

求められる取り組みは?

リスクと機会は、それぞれ取り組むためのプロセスが異なるため、明確に区別されることとなりました。
  • リスクと機会を別々に区別して整理し、それぞれに対する対応策を決定する
  • リスクと機会について、分析・評価を行う
  • 定期的に見直しを行い、対応策の有効性を確認する

さらにリスクマネジメントが重視されるかも?
これまで十分でなかった機会への対応は、積極的に行いましょう!

  • 2015年版で導入されたリスクベース思考(Risk-based thinking)がさらに詳細に求められ、サプライヤーリスクや情報漏洩リスクの管理が強く求められる可能性
  • 機会の管理においては、新製品サービス開発や新市場参入を管理するなど、改善だけではなく、新しい収益機会を創出する視点が強調される可能性

箇条6:変更の計画策定に3つの要素が追加

6.3「変更の計画策定」においては、資源だけではなく情報に対する利用可能性も考慮するように修正されました。さらに、「変更の有効性の監視方法および評価方法」「変更のコミュニケーション」「変更の結果のレビュー方法」の3つが新たな要求事項として追加されています。

求められる取り組みは?

変更管理をより確実にするため、これらの要素を変更計画に組み込んでいきましょう。
  • 品質マネジメントシステムに変更を加える際、その変更が有効かどうかを監視・評価する仕組み
  • 変更内容を関係者に適切に伝達する仕組み
  • 変更の結果をレビューし、必要に応じて改善する仕組み

箇条7:認識すべきことに「品質文化と倫理的行動への認識」が追加

7.3「認識」において、「品質文化及び倫理的行動について認識する」ことが追加されました。

組織で働くすべての人が、日常的にこの価値観を体現できるよう、
教育訓練、コミュニケーション、人材育成を行いましょう!

  • 既存の従業員教育に、このことを内容を組み込んで、リフレッシュする
  • 社内報や掲示物、朝礼などを活用し、このことを継続的に周知し、浸透させる
  • 日常の業務プロセスの中に、このことを自然と実践しているような仕組みを組み込む

箇条8:利害関係者や外部提供者へ「伝達する」事項が細かく変更 事業継続計画に関する補足も

8.4.3「外部提供者に関する情報」において、必ず伝達しなければならなかった事項が「必要に応じて」に変更になりました。適用できるもののみ選択できるようになったと思われます。
また、「組織と外部提供者の相互作用」だけではなく、「該当する場合には、必ず、その顧客及びその他の密接に関連する利害関係者との相互作用」も伝達するように、新しく要求されました。

その他、事業継続計画に絡めた修正もされています。

「不足の事態への対応に関する特定の要求事項の確立」が、「提供される製品又はサービスのあらゆる中断に関連する場合を含む、不足の事態への対応」になり、「不足の事態」とはどういうことか、小さく説明が追加されました。

ただし、マネジメントシステム全体に影響する大きな変更はありません。
組織が日々の業務プロセスをきちんと管理していくことが求められているのは、これまでも同様です。

箇条10:継続的改善の項番が統合

従来、10.1「一般」と、10.3「継続的改善」に分かれていた項番が、改訂版では統合され、10.1「継続的改善」になりました。

ただし、求められる取り組み内容に変更はありません。
組織が継続的に品質マネジメントシステムを改善していく活動が要求されているのは、これまでも同様です。

  • リーダー層が積極的に改善サイクルに関与し、支援している証拠を示す
  • 是正処置が単なる処置で終わることなく、その先の改善サイクルにつながっているかを見直す

今後とも、根本原因の分析・究明、「改善追求」を強化しましょう。

また、規格全体で以下のような修正が行われています。

附属書SLの共通テキストの改訂に合わせる

項目の順番の変更、タイトルの変更、文言の統一や削除などが随所で行われます。

さらに複数のマネジメントシステムを統合運用しやすくなります!

  • 品質マネジメントシステム固有の要求事項は、共通テキストの後ろに記述する
    → a)、b)、c)…の順番が変わる
  • デジタル化やAI、自動化、データ管理などの新興技術を意思決定プロセスに取り上げる

附属書Aの拡張

構造、用語、箇条がより明確になります。

現在のISO9001:2015の附属書Aには存在しない、
要求事項本文 箇条4~10の考え方に関する解説が追加されます!

また、以下のような現代のトレンドに即した、詳細な参考情報が記載されています。
  • 品質管理システムが気候変動、資源不足、社会的影響、評判の喪失、新たな規制などのリスクに直面した際に、組織とサプライチェーンのレジリエンスをどのように確保するか
  • デジタル化やAI,自動化、データ管理などの新興技術を意思決定プロセスに取り上げる

既存の要求事項の意図を、より明確に、理解しやすい形で明記

規格解釈の誤解を避けるため、意味を明確にする目的で、「文書化した情報」についての表現が変更になります。
従来と意図は変わらないため、新しい処置は必要ありません。

維持、保持の表現が変更に!

  • 「文書化した情報を維持しなければならない」

  → 「文書化した情報として利用可能な状態にしなければならない」

  • 「文書化した情報を保持しなければならない」

 → 「証拠として、文書化した情報を利用可能な状態にしなければならない」

!注意!

ここまでDIS(国際規格案)時点でわかっている変更点を説明しました。
これらは変更になる可能性があります。
詳細については、改訂版の国際規格やJIS規格が発行された後に確認し、
自社の品質マネジメントシステムへの影響を個別に検討していきましょう。

移行のために必要な準備

改訂版の発行前の今できることとしては、最新情報のチェック、品質マネジメントシステムのマニュアルの準備です。

今からできる準備の内容
  • ISO公式サイトからの情報を定期的に確認する
     ― 国際標準化機構、日本産業標準調査会など
  • 規格項番順に並び変えて整理しておく
     ― 改訂版の発行後、現行のマニュアルのどこに追加し修正する必要があるのか、一目でわかります
  • 複数規格取得している場合は、統合マニュアル化も検討する
     ― 今回の改訂でより共通点が増えるため、統合マニュアルは効率的な運用に寄与します
  • スリム化に取り組む
     ― この機会に「以前からのルールだから」という理由で残っている形骸化した規定を削除しておくと、
      規格改訂の対応時にもスムーズになります

また、国際規格が発行されてから移行審査までの簡単な流れは下記の通りです。

新しい基準に基づいた運用実績も一定期間必要なため、一般的な目安としては、最短で6カ月程度、推奨される期間としては1年から1年半程度の時間がかかる可能性があります。

STEP
01

改訂版の規格を理解する

新しく追加された、もしくは削除や修正など内容が変更された、用語・概念・要求事項を確認しましょう。また、「なぜこのような追加・変更が行われたのか?」という意図や背景まで理解することが重要です。

STEP
02

新旧の規格の差分を洗い出し、自社の状況とのギャップ分析をする

「当社ではこの新しい要求に対する取り組みが存在しない、足りてない」というように、現状を認識するところから始めます。

STEP
03

新たに追加・変更すべき取り組みを明確にし、その実施方法を決定する

「新しくこと取り組みを始めよう、既存のこの取り組みを変更しよう」と決定します。予算を考慮しながら「誰が、どうやって、いつまでに?」と実施方法を検討します。

STEP
04

ルールや決まりごとを含めた文書類の見直しを行い、更新する

マニュアルや規程、手順書などの関連する文書類を見直しましょう。

STEP
05

関係各所へ周知し、教育訓練など運用準備を行う

関係各所へ変更の内容を周知し、伝達しましょう。内部監査員などの実務担当者に対する教育訓練の実施、達成目標の見直し、細かい帳票類の見直しを行い、更新します。

STEP
06

新しい品質マネジメントシステムを運用する

改訂版の規格を新しい基準とした新システムが完成したら、実際に運用しましょう。最低3カ月以上の実績が必要です。

STEP
07

内部監査とマネジメントレビューを実施する

有効性・適合性の観点から、新システムの運用状況を内部監査でチェックし、マネジメントレビューを行いましょう。移行審査の1、2カ月前までに終わらせておきましょう。

ISO9001:2026の移行期間は?

2022年に規格改訂のあったISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム、ISMS)の移行期間は、改訂版の国際規格が発行された2022年10月25日~2025年10月31日までの3年間でした。
また、IAFによって、「ISO9001:2026への移行期間を3年間にする」方向で投票が行われる予定です。

よって、ISO9001:2026への移行も、改訂版の発行日から3年以内に審査を受け、認証登録まで完了する必要がある可能性が高いです。

その場合、2026年9月に無事発行された場合、2029年9月が移行期限となります。

例えば、毎年5月に審査を受けている会社であれば、2027年5月、2028年5月、2029年5月の3回ほど新しい規格に則った審査を受けるチャンスがあることになります。

規格改訂モデルスケジュール

下の図は、現在の予定通り2026年9月に改訂版が発行された場合の、ある組織のモデルスケジュールです。

  1. 毎年5月頃に審査を受けており、2026年8月に認証登録が有効期限を迎える
  2. 1年と6カ月間、マネジメントシステムを更新して運用する
  3. 移行期限にあたる2029年9月よりも前に移行審査を受審し、認証登録まで終える

万が一、2027年度や2028年度の審査で、改訂版の基準への適合が認められず、移行審査を通過できなかったとしても、従来の2015年版で一旦認証を継続して、次年度に再度チャレンジすることもできます!
保険のためにも、始めから最終年度にあたる2029年を移行審査年として動くのは、避けることをお勧めします。

Point❶

移行審査は、定期(サーベイランス)審査と再認証(更新)審査、どちらの審査とも一緒の日程で受けることができます!

移行審査日が、登録証の有効期限・移行期限の直前になる場合は、認証登録の手続き※の状況によっては、期限までに移行が間に合わない可能性があります。
なるべく余裕をもって、移行期限の1年前~3カ月前までには移行審査を受けるようにしましょう!

※ 認証登録の手続き…
審査後、認証機関内で審査報告書がレビューされ、認証継続の可否について判定会議が行われ、承認されたら、新しい登録証が発行される

Point❷

ISO認証の新規取得、初回審査を予定している場合は、2026年版が発行されるまで待つべき?

改訂後しばらくの間は、ISO9001:2015の基準に則った初回審査(初回認証登録)の申し込みを受け付けている認証機関も多いため、まずはISO9001:2015の基準で審査を受けることもできます。
ISO教育や文書作成など、社内でプロジェクトがすでに始まっている場合は、そのまま進めてしまっても良いでしょう。

よくある質問

Q.

改訂版の規格が確定し、発行されるのはいつですか?

A.

2026年9月と発表されています。なお、前後する可能性があります。

Q.

移行期間はどうなりますか?

A.

現在のところは3年間と見込まれています。予定通り、2026年9月中に改訂版が発行された場合、2029年9月末までが移行期限となります。※2026-03-03誤字修正

Q.

移行期間は、JIS(日本産業規格)が発行されてから3年間ですか?

A.

いいえ、IS(国際規格、ISO規格)が発行されてから3年間の見込みです。

Q.

認証機関が、移行審査の受付を開始するのは、改訂版の規格が発行されてすぐですか?

A.

いいえ、多くの場合、改訂版の規格が発表されてから少し後になります。

2022年10月にISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム、ISMS)の改訂があった際は、アームスタンダードの場合は、発行月から11カ月後にあたる2023年9月から、申し込みの受付を開始しました。

認証機関からの発表をお待ちください。

Q.

認証機関が、移行審査を終了するのは、移行期限日ですか?

A.

いいえ、多くの場合、移行期限日の数カ月前に、移行審査の実施を終了します。

2022年10月にISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム、ISMS)の改訂があった際は、アームスタンダードの場合は、移行期限日の3カ月前にあたる2023年7月末までに移行審査を完了するように通達していました。

認証機関からの発表をお待ちください。

Q.

認証機関が、現行の規格での初回審査や再認証審査の受付を終了するうのは、改訂版の規格が発行されてすぐですか?

A.

いいえ、多くの場合、改訂後しばらくは、現行の規格の基準に則った審査の申込を受け付けています。

2022年10月にISO/IEC27001(情報セキュリティマネジメントシステム、ISMS)の改訂があった際は、アームスタンダードの場合は、発行月から18カ月以内であれば、申込を受け付けていました。

認証機関からの発表をお待ちください。

Q.

来年度に現行の規格での新規取得を検討中です。改訂版の規格が発行されるとのことですが、このまま進めて問題ありませんか?

A.

問題ありません。現行の規格は、移行期間中は有効ですので、取得した後に、改訂版へ移行できます。

むしろ、現行の規格で品質マネジメントシステムをしっかり固めておくと、差分だけ修正すればよいため、移行はスムーズです。

Q.

移行審査を単独で受けることは可能ですか?

A.

移可能ですが、できる限り通常の審査サイクルにて行われております、定期審査や再認証審査と合わせての受審を推奨します。

Q.

改訂版の規格の発行直前に、例年審査があるのですが、その審査は何か変わりますか?

A.

改訂版の規格発効前の審査は、現行の規格に基づいて実施されますので、例年通りの対応で問題ありません。

改訂版の規格が発行された後の審査で、移行に向けた準備状況を確認される場合がありますので、認証機関に事前に確認しておくことをおすすめします。

Q.

改訂版の規格への移行の際に、現在の適用範囲を見直す必要があるのでしょうか?

A.

適用範囲の決定(4.3項)の要求事項の意図は従来と変わっていません。

しかし、今回の改訂では、外部及び内部の課題を決定する4.1項と、利害関係者とその要求事項を特定する4.2項に、気候変動に関する追補の内容が正式に統合されます。適用範囲の決定の際は、4.1項と4.1項を考慮するため、もしこれらを変更することになった際は、共に適用範囲を変更する必要があるか、再確認しておくことは推奨されます。

Q.

移行審査には費用がかかりますか?いつからわかりますか?

A.

はい、通常の審査と同様に費用が発生します。既存契約に基づく追加工数(追加費用)の発生の場合が多いです。費用は、改訂版の規格が発行された後に、認証機関により公式サイト(ニュースレター)や見積依頼にて案内されます。

認証機関の料金体系、組織の規模・複雑さ・リスク・認証スコープ、移行審査のタイミングなどによっても異なるため、事前に見積を依頼し、確認しましょう。

Q.

改訂対応を自社だけで進めるのが難しい場合、どうすればいいですか?

A.

認証機関の移行ガイドやセミナーを活用し、必要ならISOコンサルタントや業界団体の支援を受けると効率的です。当社の場合、WebMiCSというツールも提供しています。

Q.

改訂版の規格への移行には、どのくらいの準備期間が必要ですか?その中で、どのくらいの運用期間が必要ですか?

A.

一般的に、最短で6カ月~最大で1年半の準備期間が必要と言われています。また、運用期間は最低3カ月は必要です。

こちらのよくある質問は、随時更新していきます。

認証をまだ取得していない方向け、もしくは、より初歩的な疑問をまとめたFAQは、以下の記事をご覧ください。

アームスタンダード株式会社
アームスタンダード株式会社
1997年設立。2017年ISO/IEC27001認証サービス開始。2020年ISO9001認証サービス開始。グループ合計で5,500件以上の審査実績を持つ審査機関としての、長年の経験とノウハウを活かし、ISOをより活かすことができるお役立ち情報(動画・記事・ホワイトペーパー等)を配信中。

contact

ISO認証取得・審査機関の切り替えは
アームスタンダードへご相談ください

お電話でのお問い合わせはこちら

平日 8時30分〜17時30分

メルマガ登録受付中!


よく読まれている記事

関連記事

タグ一覧