ISO/IEC27001 規格改訂情報

ISO/IEC27001:2022が2022年10月25日に発行されました。
ISO/IEC27001:2022への改訂において、2013年版からの本文の追加・変更は少なく、要求事項にも大きな追加・変更はありません。
今回の改訂では2022年2月に改訂されたISO/IEC27002:2022に併せて、附属書Aが全面的に改訂されています。
新規管理策も11項目追加されていますので見直しが必要になります。

本文の改訂について

今回の改訂において、本文についての追加・変更の内容は以下の通りです。

・ISO/IEC27001:2022の構造とテキストに、最新版の規格として共通の形式が反映されました。
・ISO31000の改訂に対応して、本規格で参照しているISO31000の箇条番号が変更されました(参照する内容についての変更はありません)。

各項番ごとの改訂、及び要求事項の追加・変更の有無は下記の表を参照してください。
※赤字は2022年版で新しく追加された項番です。

改訂版
(ISO/IEC27001:2022)改訂要求事項の
追加・変更
0.序文  0.1 概要  
  0.2 他のマネジメントシステム規格との両立性  
1.適用範囲  
2.引用規格  
3.用語及び定義  
4.組織の状況  4.1 組織及びその状況の理解
  4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
  4.3 情報セキュリティマネジメントシステムの適用範囲の決定  
  4.4 情報セキュリティマネジメントシステム
5.リーダーシップ  5.1 リーダーシップ及びコミットメント
  5.2 方針  
  5.3 組織の役割、責任及び権限
6.計画  6.1 リスク及び機会に対処する活動  
  6.1.1 一般  
  6.1.2 情報セキュリティリスクアセスメント  
  6.1.3 情報セキュリティリスク対応
  6.2 情報セキュリティ目的及びそれを達成するための計画策定
  6.3 変更の計画策定
7.支援  7.1 資源  
  7.2 力量  
  7.3 認識  
  7.4 コミュニケーション(有)
  7.5 文書化した情報  
  7.5.1 一般  
  7.5.2 作成及び更新  
  7.5.3 文書化した情報の管理  
8.運用  8.1 運用の計画及び管理
  8.2 情報セキュリティリスクアセスメント  
  8.3 情報セキュリティリスク対応  
9.パフォーマンス評価  9.1 監視、測定、分析及び評価
  9.2 内部監査  
  9.2.1 一般
  9.2.2 内部監査プログラム
  9.3 マネジメントレビュー  
  9.3.1 一般
  9.3.2 マネジメントレビューへのインプット
  9.3.3 マネジメントレビューの結果
10.改善10.1 継続的改善
10.2 不適合及び是正処置

附属書A 管理策の変更点について

附属書A 管理策はISO/IEC27002:2022の箇条5~箇条8に規定したものがそのまま取り入れられており、 両者の整合が保たれています。
2013年版からの変更点として、管理策体系の簡素化のため、その主な側面に基づき4群にまとめられました。
また、ISO/IEC27002:2022における管理目的の扱いが変更されたことに対応して、管理目的への言及が削除されました。

ISO/IEC 27002:2022項目数
5 組織的管理策37
6 人的管理策8
7 物理的管理策14
8 技術的管理策34
合計93
ISO/IEC 27002:2013項目数
  5 情報セキュリティのための方針群2
  6 情報セキュリティのための組織7
  7 人的資源のセキュリティ6
  8 資産の管理10
  9 アクセス制御14
10 暗号2
11 物理的及び環境的セキュリティ15
12 運用のセキュリティ14
13 通信のセキュリティ7
14 システムの取得、開発及び保守13
15 供給者関係5
16 情報セキュリティインシデント管理7
17 事業継続マネジメントにおける情報セキュリティの側面4
18 順守8
合計114

管理策の対比表

下記の表はISO/IEC27001:2022とISO/IEC27001:2013の対比表です。
ISO/IEC27001:2022のそれぞれの管理策に対して、どの項目が属しているかを一覧したい場合に参照してください。
※赤字は2022年版で新しく追加された項番です。

 ISO/IEC27001:2022ISO/IEC27001:2013
組織的
管理策
5.1 情報セキュリティのための方針群A.5.1.1 情報セキュリティのための方針群
A.5.1.2 情報セキュリティのための方針群のレビュー
5.2 情報セキュリティの役割及び責任A.6.1.1 情報セキュリティの役割及び責任
5.3 職務の分離A.6.1.2 職務の分離
5.4 経営陣の責任A.7.2.1 経営陣の責任
5.5 関係当局との連絡A.6.1.3 関係当局との連絡
5.6 専門組織との連絡A.6.1.4 専門組織との連絡
5.7 脅威インテリジェンス-
5.8 プロジェクトマネジメントにおける情報セキュリティA.6.1.5 プロジェクトマネジメントにおける情報セキュリティ
A.14.1.1 情報セキュリティ要求事項の分析及び仕様化
5.9 情報及びその他の関連資産の目録A.8.1.1 資産目録
A.8.1.2 資産の管理責任
5.10 情報及びその他の関連資産の許容される利用A.8.1.3 資産利用の許容範囲
A.8.2.3 資産の取扱い
5.11 資産の返却A.8.1.4 資産の返却
5.12 情報の分類A.8.2.1 情報の分類
5.13 情報のラベル付けA.8.2.2 情報のラベル付け
5.14 情報転送A.13.2.1 情報転送の方針及び手順
A.13.2.2 情報転送に関する合意
A.13.2.3 電子的メッセージ通信
5.15 アクセス制御A.9.1.1 アクセス制御方針
A.9.1.2 ネットワーク及びネットワークサービスへのアクセス
5.16 識別情報の管理A.9.2.1 利用者登録及び登録削除
5.17 認証情報A.9.2.4 利用者の秘密認証情報の管理
A.9.3.1 秘密認証情報の利用
A.9.4.3 パスワード管理システム
5.18 アクセス権A.9.2.2 利用者アクセスの提供
A.9.2.5 利用者アクセス権のレビュー
A.9.2.6 アクセス権の削除又は修正
5.19 供給者関係における情報セキュリティA.15.1.1 供給者関係のための情報セキュリティの方針
5.20 供給者との合意における情報セキュリティの取扱いA.15.1.2 供給者との合意におけるセキュリティの取扱い
5.21 情報通信技術(ICT)サプライチェーンにおける情報セキュリティの管理A.15.1.3 ICT サプライチェーン
5.22 供給者のサービス提供の監視、レビュー及び変更管理A.15.2.1 供給者のサービス提供の監視及びレビュー
A.15.2.2 供給者のサービス提供の変更に対する管理
5.23 クラウドサービスの利用における情報セキュリティ-
5.24 情報セキュリティインシデント管理の計画策定及び準備A.16.1.1 責任及び手順
5.25 情報セキュリティ事象の評価及び決定A.16.1.4 情報セキュリティ事象の評価及び決定
5.26 情報セキュリティインシデントへの対応A.16.1.5 情報セキュリティインシデントへの対応
5.27 情報セキュリティインシデントからの学習A.16.1.6 情報セキュリティインシデントからの学習
5.28 証拠の収集A.16.1.7 証拠の収集
5.29 事業の中断・阻害時の情報セキュリティA.17.1.1 情報セキュリティ継続の計画
A.17.1.2 情報セキュリティ継続の実施
A.17.1.3 情報セキュリティ継続の検証,レビュー及び評価
5.30 事業継続のためのICTの備え-
5.31 法令、規制及び契約上の要求事項A.18.1.1 適用法令及び契約上の要求事項の特定
A.18.1.5 暗号化機能に対する規制
5.32 知的財産権A.18.1.2 知的財産権
5.33 記録の保護A.18.1.3 記録の保護
5.34 プライバシー及びPIIの保護A.18.1.4 プライバシー及び個人を特定できる情報(PII)の保護
5.35 情報セキュリティの独立したレビューA.18.2.1 情報セキュリティの独立したレビュー
5.36 情報セキュリティのための方針群、規則及び標準の順守A.18.2.2 情報セキュリティのための方針群及び標準の順守
A.18.2.3 技術的順守のレビュー
5.37 操作手順書A.12.1.1 操作手順書
人的
管理策
6.1 選考A.7.1.1 選考
6.2 雇用条件A.7.1.2 雇用条件
6.3 情報セキュリティの意識向上、教育及び訓練A.7.2.2 情報セキュリティの意識向上,教育及び訓練
6.4 懲戒手続A.7.2.3 懲戒手続
6.5 雇用の終了又は変更後の責任A.7.3.1 雇用の終了又は変更に関する責任
6.6 秘密保持契約又は守秘義務契約A.13.2.4 秘密保持契約又は守秘義務契約
6.7 リモートワークA.6.2.2 テレワーキング
6.8 情報セキュリティ事象の報告A.16.1.2 情報セキュリティ事象の報告
A.16.1.3 情報セキュリティ弱点の報告
物理的
管理策
7.1 物理的セキュリティ境界A.11.1.1 物理的セキュリティ境界
7.2 物理的入退A.11.1.2 物理的入退管理策
A.11.1.6 受渡場所
7.3 オフィス、部屋及び施設のセキュリティA.11.1.3 オフィス,部屋及び施設のセキュリティ
7.4 物理的セキュリティの監視-
7.5 物理的及び環境的脅威からの保護A.11.1.4 外部及び環境の脅威からの保護
7.6 セキュリティを保つべき領域での作業A.11.1.5 セキュリティを保つべき領域での作業
7.7 クリアデスク・クリアスクリーンA.11.2.9 クリアデスク・クリアスクリーン方針
7.8 装置の設置及び保護A.11.2.1 装置の設置及び保護
7.9 構外にある資産のセキュリティA.11.2.6 構外にある装置及び資産のセキュリティ
7.10 記憶媒体A.8.3.1 取外し可能な媒体の管理
A.8.3.2 媒体の処分
A.8.3.3 物理的媒体の輸送
A.11.2.5 資産の移動
7.11 サポートユーティリティA.11.2.2 サポートユーティリティ
7.12 ケーブル配線のセキュリティA.11.2.3 ケーブル配線のセキュリティ
7.13 装置の保守A.11.2.4 装置の保守
7.14 装置のセキュリティを保った処分又は再利用A.11.2.7 装置のセキュリティを保った処分又は再利用
技術的
管理策
8.1 利用者エンドポイント機器A.6.2.1 モバイル機器の方針
A.11.2.8 無人状態にある利用者装置
8.2 特権的アクセス権A.9.2.3 特権的アクセス権の管理
8.3 情報へのアクセス制限A.9.4.1 情報へのアクセス制限
8.4 ソースコードへのアクセスA.9.4.5 プログラムソースコードへのアクセス制御
8.5 セキュリティを保った認証A.9.4.2 セキュリティに配慮したログオン手順
8.6 容量・能力の管理A.12.1.3 容量・能力の管理
8.7 マルウェアに対する保護A.12.2.1 マルウェアに対する管理策
8.8 技術的ぜい弱性の管理A.12.6.1 技術的ぜい弱性の管理
A.18.2.3 技術的順守のレビュー
8.9 構成管理-
8.10 情報の削除-
8.11 データマスキング-
8.12 データ漏えいの防止-
8.13 情報のバックアップA.12.3.1 情報のバックアップ
8.14 情報処理施設の冗長性A.17.2.1 情報処理施設の可用性
8.15 ログ取得A.12.4.1 イベントログ取得
A.12.4.2 ログ情報の保護
A.12.4.3 実務管理者及び運用担当者の作業ログ
8.16 監視活動-
8.17 クロックの同期A.12.4.4 クロックの同期
8.18 特権的なユーティリティプログラムの使用A.9.4.4 特権的なユーティリティプログラムの使用
8.19 運用システムに関わるソフトウェアの導入A.12.5.1 運用システムに関わるソフトウェアの導入
A.12.6.2 ソフトウェアのインストールの制限
8.20 ネットワークのセキュリティA.13.1.1 ネットワーク管理策
8.21 ネットワークサービスのセキュリティA.13.1.2 ネットワークサービスのセキュリティ
8.22 ネットワークの分離A.13.1.3 ネットワークの分離
8.23 ウェブ・フィルタリング-
8.24 暗号の利用A.10.1.1 暗号による管理策の利用方針
A.10.1.2 鍵管理
8.25 セキュリティに配慮した開発のライフサイクルA.14.2.1 セキュリティに配慮した開発のための方針
8.26 アプリケーションのセキュリティの要求事項A.14.1.2 公衆ネットワーク上のアプリケーションサービスのセキュリティの考慮
A.14.1.3 アプリケーションサービスのトランザクションの保護
8.27 セキュリティに配慮したシステムアーキテクチャ及びシステム構築の原則A.14.2.5 セキュリティに配慮したシステム構築の原則
8.28 セキュリティに配慮したコーディング-
8.29 開発及び受入れにおけるセキュリティテストA.14.2.8 システムセキュリティの試験
A.14.2.9 システムの受入れ試験
8.30 外部委託による開発A.14.2.7 外部委託による開発
8.31 開発環境、試験環境及び運用環境の分離A.12.1.4 開発環境,試験環境及び運用環境の分離
A.14.2.6 セキュリティに配慮した開発環境
8.32 変更管理A.12.1.2 変更管理
A.14.2.2 システムの変更管理手順
A.14.2.3 オペレーティングプラットフォーム変更後のアプリケーションの技術的レビュー
A.14.2.4 パッケージソフトウェアの変更に対する制限
8.33 テスト用情報A.14.3.1 試験データの保護
8.34 監査試験中の情報システムの保護A.12.7.1 情報システムの監査に対する管理策